フランス語と英語ってどのくらい似てるの?
こういった方向けです。
本記事では、フランス語と英語の似ている点を単語・文法・発音の観点から詳しく解説し、またなぜ似ているのかの背景についても紹介しました。
私は英語、フランス語、スペイン語、アラビア語を話します。
この言語経験をもとにお話します。
フランス語と英語は似てる?違いや難易度、同時に学べるのか解説!
今回はこのようなトピックでお話していきます。
それではいきましょう!
フランス語と英語の基本情報(なぜ似ているのか?)
フランス語と英語ですが、結論から言うと似ています。
これは個人的な感想ではなく、根拠があります。
イギリスは昔、一時期フランス語を採用していたという歴史があるからなんです!
初めて知った方も多いのではないでしょうか?
まず2つの言語の背景について少し説明させてください。
これから先に少し難しい単語が出てきますが覚える必要はなく、なんとなくイメージだけ掴んでいただけたら幸いです。
まず、英語とフランス語では言語のグループが違います。
英語は「ゲルマン語派」、フランス語は「ロマンス諸語」というものに分類されます。
「語派・・?諸語・・?」という方のために「語族」について簡単に説明させていただきます。
どの言語も語族というものがあります。
語族というのは歴史や文法の特徴から、起源が同じだと考えられる言語を分類したものです。
その語族を起点として細かいグループへと枝分かれしていきます。
英語とフランス語は、細かいグループは違うものの、遡っていくと同じ祖先である「インド・ヨーロッパ語族」というものに属します。
つまり、平たく言うと祖先となる言語は一緒なのですが、細かく分類すると違うものに属するということです。
難しい・・・!なんでこれを知る必要があるの?
実はこのグループが近ければ近いほど、言語の特徴が似ているからなんです!
例えば、フランス語が属しているロマンス諸語には他にスペイン語、イタリア語、ポルトガル語などがあります。
スペイン語とポルトガル語は発音は異なるものの、文面では意思疎通ができるほど似ています!
また、フランス語とスペイン語も結構似ており単語などは共通するものが多いです。
このように一般的にグループが同じ言語であればあるほど、似ているということができます。
じゃあ、英語とフランス語はグループが違うからあんまり似ていないんじゃない?
普通はそうなんですよね。
しかし、実は英語は少し特別な言語なんです。
ココがポイント
英語はゲルマン語派でありながらロマンス諸語の影響を強く受けている!
そうなんです!
つまり、英語と、フランス語などのロマンス諸語はグループは違うのにも関わらず多くの共通点があるのです!
さらに、ロマンス諸語の中でも特にフランス語の影響を受けています!
他のグループと多くの共通点があることは比較的珍しいです。
では、なぜこのように似ているのでしょうか?
これには歴史が深く関係しています!
1066年に「ノルマン・コンクエスト」という、ノルマンディー公国がイングランド王国を征服するといったことがありました。
当時、ノルマンディー公国はフランス北部に位置する国でロマンス諸語の1つであるノルマン語を採用していました。
イングランド王国では、英語の祖先である古英語が公用語だったのですが、この征服によりノルマン語を大きく取り入れることになりました。
そしてこのノルマン語は別名ノルマン・フランス語とも呼ばれており、フランス語の方言の1つです。
そのため、これ以降の英語は中英語と呼ばれるロマンス諸語の影響を色濃く受けたものへと発展していきました。
つまり、この「ノルマン・コンクエスト」が英語の歴史でのターニングポイントであり、このことによって英語はフランス語の特徴も併せ持つようになりました。
なぜ英語とフランス語が似ているのかおわかりになっていただけたでしょうか?
イギリスが一時フランス語を公用語としていたとは驚きですよね。
それでは、これからは具体的にどのような点で似ているのか語彙・文法・発音の観点から掘り下げていきます!
単語
結論から言うと、英語とフランス語の単語はかなり似ています!
その理由がこちら。
ココがポイント
全体の3割の単語がほぼ同じ!
諸説ありますが言語学者の研究によると、英語とフランス語の語彙の共通度(形が似ていて意味も同一の単語)は25~35%と言われています。(この語彙の共通度は「Lexical Similarity」というので興味のある方は詳しく調べてみてください。)
つまり、簡単に言うと約3分の1の単語がほぼ同じということです!これは驚くべき数字ですね。
以下の表に英語とフランス語で全く同じ、またはほぼ同じ単語を並べてみました。
ご覧ください。
意味 | 英語 | フランス語 |
---|---|---|
見事な | admirable | admirable |
情熱 | passion | passion |
建築 | architecture | architecture |
芸術家 | artist | artist(e) |
未来 | future | futur |
重要な | important | important(e) |
レストラン | restaurant | restaurant |
称賛 | admiration | admiration |
電車 | train | train |
政府 | government | gouvernement |
「こんなに似ているんだ!」と驚かれた方も多いのではないでしょうか?
このように両言語において、極めて多くの単語を共有しています。
特に教養のある単語などはフランス語起源であることが多いです。
発音については後ほど詳しく解説しますが、スペルは同じでもほとんどの場合発音は違います。
ここで1つ注意しなければならないのは、同じような単語でも実は違う意味を持つという単語も存在するということです。これを「False Frineds」と言います。
例えばフランス語の『actuellement』は英語の「actually」とよく似ていますがそのような意味はなく、「現在」のような意味で使います。
また、英語ではフランス語の語彙が外来語として最も取り入れられています。
例えば「déjà-vu(デジャブ)」、「coup d’état(クーデター)」などは日本でもよく使われますよね。
反対にフランス語では英語の語彙が外来語として最も取り入れられています。
このことから、両言語の結びつきは非常に強いということがわかります。
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ロケットスタートを決めたい方はご覧ください。
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文法
結論から言うと、英語とフランス語の文法は少し似ていると言えます。
まず語順は2つともSVOです。
SVOとは「主語→動詞→目的語」の順で文が成り立つということです。
例えば、
「たかし【主語】 /食べる【動詞】 /リンゴ【目的語】」で「たかしはリンゴを食べる」という意味になるということです。
参考までに両言語だとどう書くのか乗せておきます。
英語:Takashi eats an apple
フランス語:Takashi mange une pomme
ヨーロッパの言語は、比較的SVOであることが多いです。
しかし、英語とフランス語で大きく異なる点もあります。
今回は、フランス語の文法についてなんとなくイメージを掴んでいただくためにその大きな特徴を3つご紹介します。
文法特徴1
否定は2語必要!
これはフランス語の大きな特徴の1つです。
通常否定文は1語で成り立ちます。
例えば、日本語では「~ない」ですし、英語では「not」などですよね。
フランス語と同じ言語グループに属するスペイン語でも「no」1語のみです。
一方でフランス語では動詞を『ne』と『pas』で挟みます。
例を見てみます。
疑問文
Je ne suis pas étudiant.
これは「私は生徒ではありません」という意味なのですが、『suis』という英語のbe動詞に当たる動詞の前後に『ne』と『pas』が付いています。
最初はなかなか慣れないポイントです。
口語では『ne』を省略することも多いですが、付けても自然に文が作れるように練習しておきましょう。
文法特徴2
主語によって動詞の形が変わる!
これはラテン系の言語の大きな特徴ですね。
フランス語では主語によって動詞を活用しなければなりません。
例えば、英語だと食べるという意味の単語は「eat」ですがこの動詞が変化するのは、三人称単数のsがついて「eats」となる時くらいですよね。
フランス語で食べるは『manger』が基本形なのですが、主語によって以下のように変化します。
主語 | 動詞 |
---|---|
Je(私) | mange |
Tu(君) | manges |
Il/Elle/On(彼/彼女/不特定の人) | mange |
Nous(私たち) | mangeons |
Vous(あなた、あなたたち) | mangez |
Ills/Elles(彼ら/彼女ら) | mangent |
こ、怖い!!フランス語無理かも!!
最初は圧倒されますよね・・。。でも安心してください!
日常会話で使うものはかなり限られていますし、ネイティブでさえ活用形を間違えてしまうことがあるそうです。
それに、ほとんどの動詞は活用の規則に従えば初見の単語でも活用できます!(主語が「私」の場合はこの形かな、というように推測できます)
筆者はスペイン語を長くやっていたのですが、肌感覚としてはスペイン語の動詞活用の方が複雑で例外が多く、フランス語の方が取り組みやすかったです。
文法特徴3
男性名詞と女性名詞がある!
男性名詞??女性名詞?聞いたことない・・・!
という方が多くいらっしゃるかと思います。
実はフランス語では名詞を男性名詞・女性名詞と区分します。
例えば、pèreは「父」という意味で男性名詞、mèreは「母」という意味で女性名詞です。
そしてこれは人に限った話ではなく、一見男女が関係なさそうな物でも区分します。
例えば、「学校」という意味のécoleは女性名詞ですが、「本」という意味のlivreは男性名詞です。
これを覚えるのはなかなか骨の折れる作業かもしれません・・。
フランス語難しすぎ・・
しかし、世界の言語全体で見ると、名詞に性がある言語とない言語は半々くらいだそう。
つまり、これはフランス語に限ったことではなく、多くの言語で持っています。
皆さんご存知の通り、日本語や英語は名詞に性がない言語です。
そのため、最初は馴染みがないかもしれませんがそこまで臆することはありません。
こちらも見分け方の規則がありますし、仮に間違えてもほとんどの場合伝わります。
これまで文法の特徴を紹介してきましたが、最後にフランス語は疑問文の作り方が特徴的なのでそれを簡単に紹介させていただきます。
フランス語疑問文
- 文頭に『Est-ce que』という単語をつける(例:Est-ce que vous avez des croissants?)
- 主語と動詞の順番を逆にする(例:Avez-vous des croissants?)
- 文末のイントネーションを上げる(例:Vous avez des croissants?)
上記の文は全て「あなたはクロワッサンを持っていますか?」という疑問文です。
このように様々な疑問文の作り方があります。
『Est-ce que』は付けるだけで疑問文に変化する魔法の言葉だと覚えておいてください。
形によって丁寧度が異なりますが、とりあえずこのどれかを覚えれば大丈夫です。
さて、フランス語の文法の概要を紹介させていただきました。
フランス語文法は独自性の高い文法規則があるので、慣れるのに時間がかかってしまうかもしれません。
一方で、複雑である分規則がかなり論理的でありイレギュラーなことが少ないです。
そのため、多くの文章に触れていくうちに自然に文を組み立てられるようになってくるので安心してください!
*なお、フランス語をこれから始める人向けにおすすめの文法書を徹底解説しています。
フランス語文法のイメージを掴んで効率よく学習を進めることができるので、参考にしてください。
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発音
続いてはフランス語での最大の特徴、発音です。
結論から言うと、英語とフランス語の発音は全く似ていません。
よく「フランス語の発音は難しすぎる」という人がいます。
たしかに難しいのも事実ですがそれよりも「馴染みがない」という要因が大きい気がします。
例えば、スペイン語だと文字をそのままローマ字読みで発音しても大方伝わります。
英語でもそこそこ伝えることができますよね。
一方でフランス語ではローマ字読みで伝えることはかなり難しいです。
母音、子音ともに私達が普段慣れ親しんでいるローマ字読みとは大きく異なるためです。
これは慣れの問題なので、規則をしっかり覚えればスラスラと読めちゃいます!
今回はイメージを掴んでいただくために、その特徴をいくつかご紹介させていただきます。
発音特徴1
リエゾンが起こる!
リエゾンは、フランス語最大の特徴と言ってもよいでしょう。
リエゾンって何・・?
という方のために簡単に説明させていただきます。
リエゾンとは『語尾の子音を次に来る母音と一緒に発音すること』です。
んー難しいですね。例を見てましょう。
例えば、「私達は持っている」という意味の『Nous avons』。
これを1つずつ発音すると、「ヌ」「アヴォン」です。(ちなみに語尾のsは発音しません)
しかし「ヌ アヴォン」と発音するのではなく、この語尾の子音である「s」と次に来る母音である「a」を一緒に発音します!
そうすると、「ヌザヴォン」になります。
子音と母音が来れば必ず繋がるというわけではなく、繋げてはいけない場合もあります。
そのため、まずは多くの文章に触れて感覚を掴み、それから詳しいルールを覚えていくと効率よくリエゾンを習得できると思います。
最初はリエゾンで単語が繋がることによって、リスニングが鬼のように難しく感じるかもしれません。
しかし、練習するうちに段々と感覚的に流れを聞き取ることができるようになるので大丈夫です!
発音特徴2
「R」などアルファベットの発音が特殊!
こちらも大きな特徴の1つです。
特に「R」では英語のそれと大きく異なり、喉の奥でのどびこが揺れるようにして発音します。
咳払いのようなイメージです。
また、母音である「E」は発音を何個も持ち、聞き分けるのが難しいです。
さらに、『au』で「オ」、『ai』で「エ」、『ou』で「ウ」と発音するなど最初は混乱するものも多いかもしれません。
まずは、単語と一緒に少しずつ発音の規則を覚えていってください。
例えば、私達が馴染み深い単語である「カフェオレ」。
これは実はフランス語であり『café au lait』と書きます。
この単語1つで『au』と『ai』の発音を学べますよね。このように実際の単語と一緒に覚えていくと発音が身につきやすいのでおすすめです。
発音特徴3
単数形と複数形の発音が同じ単語が多い!
フランス語の単語は語尾の子音を発音しないことが多いです。
また、多くの名詞は複数形にする時に語尾に『S』をつけます。
そのため、このような単語では単数形と複数形の発音が全く同じになるということです!
では、どうやって単数複数を区別するのかと言うと、ここでは深堀りしませんが文脈や定冠詞(英語でaやtheのことです)で判断します。
このようにフランス語の発音は多くの規則があります。
日本語の発音とも英語の発音とも大きく異なるので、最初は戸惑ってしまうかもしれません。
しかし、ある程度ルールを覚えれば初めて見る単語でも基本的に発音することができます。なぜかと言うと、英語のようにイレギュラーな発音が少ないからです。
最初は大変ですが、基礎さえしっかり固めればあとはいけます!頑張りましょう!!
フランス語と英語は同時に学べるのか?
さて、「フランス語と英語を同時に勉強したい!」という方もいらっしゃると思います。
果たしてそれは習得という観点から見て効率的なのでしょうか?
結論から言うと、
ココがポイント
どちらかの言語レベルが高い場合はアリ
だと思います。
どういうことかと言うと、言語レベルが同じだと単語がごちゃごちゃになってしまうからです。
言語が似ているということはメリットとデメリットがあります。
メリットは、どちらかがを習得したらそれに似ている単語も習得しやすいことです。
例えば、フランス語をかなり話せるようになってきたらスペイン語やイタリア語は他の言語よりもかなり短期間で習得可能です。
これは1から始める言語に比べてハードルが低いので、独学でも習得しやすいと言えます。
逆にデメリットとしては2つの言語がまぜこぜになり、混乱してしまうという点です。
これはどちらの言語レベルも初心者である時に起こりやすいです。
例えば、話そうとすると無意識にもう1つの言語の単語が混ざってしまったりします。
これは混乱を招き、結果的に習得の効率を下げてしまうので避けるべきです。
つまり、英語かフランス語のどちらか一方が流暢に話せれば、比較的混乱がしにくいため、両言語を同時に学んでも良いと思います。
逆にどちらも同じレベルであれば、混乱を招いてしまうという意味であまりおすすめはしません。
まとめ:フランス語と英語は単語が似て発音が大きく違う
フランス語と英語の言語的な背景や、単語・文法・発音における具体的な違いや特徴をお話しました。
まとめると、以下のようになります。
まとめ
- 英語はフランス語と強い結びつきがあり、語彙の3分の1がほぼ同じ
- フランス語文法は動詞変化、男性名詞女性名詞があり、否定は2語必要
- フランス語は論理的な言語
- フランス語はリエゾンがある
- 発音は様々な規則があり英語とは大きく異なるが、イレギュラーな発音は少ない
- どちらかの言語レベルが高いなら英語とフランス語を同時に学ぶのはアリ
フランス語は敷居が高く、発音も特殊なので未知の言語という印象も強いかもしれません。
しかし、紐解いていけば極めて論理的な言語だと感じます。
フランス語の外来語は日本でも多いですし、英語とたくさんの単語が共通しているので、親しみやすい言語だと思います。
この機会にぜひ学習を始めてみてはいかがでしょうか?
ちなみにフランス語はどのように勉強していますか?それについては、以下の記事で『フランス語おすすめの勉強法』を徹底解説を徹底解説しているので、参考にしてください。
フランス語の勉強法完全版【独学で中級に短期間で到達する方法】
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今日も読んでくださりありがとうございます!