スペイン語圏ってどんな国があるの?
こういった方向けです。
本記事では、スペイン語圏のそれぞれの国旗や名前、文化に加え、歴史的な背景についてご紹介しました。
私はスペイン語、英語、アラビア語、フランス語を話します。
この言語経験をもとにお話します。
【スペイン語圏】それぞれの国の文化や国旗、名前の由来を徹底解説!
今回はこのような順番で紹介していきます!
ちなみにこれからスペイン語の勉強を始める人 or 始めたばかりの人は良質な単語帳を使えば学習の効率を一気に上げられるかもしれません。それらについては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
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それではいきましょう!!
そもそもスペイン語圏はなぜラテンアメリカに多いのか?
スペイン語圏といえば、ラテンアメリカを思い浮かべる方が多いと思います。
ラテンアメリカでは19もの国々でスペイン語が広く話されています。
なんでこれほど多くの国でスペイン語が話されているの?
この起源は大航海時代に遡ります。
1492年にアメリカ大陸にコロンブスがアメリカ大陸へ到達したのですが、彼の遠征をサポートしたのがスペイン王室だったのが大きく関係しています。
この開拓にあたって先進国であったスペインとポルトガルが条約を結び、そこで重要なことを決めました。
ココがポイント
アメリカ大陸の大部分はスペイン語が支配することにした
それ以降、19世紀の初頭までスペインは中南米のほとんどの国をずっと支配し続けました。
その過程でスペイン語も広まったわけです。
そこで注目スべきことが1つあります。
ココがポイント
ラテンアメリカの国々でも地域によってスペイン語の方言がかなり異なっている!
これはなぜなのでしょうか?
アメリカ大陸に渡ったスペイン人は自分が見たことのあるものはそのままスペイン語で名前を付けたのですが、初めて見るものもたくさんありました。
そこで知らないものについては元々住んでいた先住民の表現を取り入れました。
これにより、ラテンアメリカのスペイン語は同じ言語ありながらも地域によってかなり異なる特徴を持っています。これは先住民族の違いという側面もあるのです。
このスペイン語の多様性については、次のセクションからそれぞれの国のスペイン語の特徴について解説しています。
それではスペイン語圏の国をそれぞれ詳しく見ていきます!
中央アメリカ
まずは中央アメリカの国々を紹介していきます!
中央アメリカでは8ヶ国中7ヶ国においてスペイン語が話されており、域内の総人口は約4,500万人です。
エルサルバドル
エルサルバドルは、アメリカ大陸で最も人口密度の高く、面積は日本の四国ほどの小さな国です。
エルサルバドルという名前はスペイン語で「救世主」を意味します。
首都のサン・サルバドルは中米有数の世界都市です。産業としては、砂糖やコーヒー、綿花などの栽培が盛んです。
そして、人口の86%がメスティーソであると言われています。メスティーソとは、先住民の血とヨーロッパの血の混血という事です。
エルサルバドルのスペイン語
エルサルバドルでは、スペイン語が公用語とされています。
スペイン語の特徴としては、他の地域に比べて人がかなりゆっくり話していることが特徴です。
エルサルバドルのスラングはCalicheと呼ばれており、特殊な表現を持っています。
グアテマラ
グアテマラは2000年以上も存続したあのマヤ文明が栄えた国で多くの遺跡が残されています。ティカル遺跡などは有名ですね。
現在でもマヤ族の末裔であるキチェ族やカクチケル族が暮らしています。
グアテマラのスペイン語
グアテマラは多言語国家です。
公用語はスペイン語ですが、マヤ系の方言も話されています。
グアテマラのスペイン語は、やはりマヤ語の影響を受けており植物や動物などの単語においてその特徴が顕著に見られます。
コスタリカ
コスタリカは幸福度指数でもかなり上位の国で、中米では比較的治安もいいため移住の地としても人気なんです。
また、自然がとても豊かであり、環境保護先進国としても名高いです。
コスタリカという名前の由来はスペイン語で「豊かな海岸」という意味です。
コスタリカのスペイン語
コスタリカでは、スペイン語に加え、いくつか先住民の言語も話されています。
コスタリカのスペイン語の特徴としては、Rの発音が巻き舌ではなく、「Z」のような発音になるところです。
ニカラグア
ニカラグアは葉巻やラム酒が有名な国。
国土の半分が未開発地で中南米最貧国の1つとしても知られています。
スペイン語圏を代表する詩人であるルベン・ダリオはニカラグア出身です。
ニカラグアのスペイン語
ニカラグアの公用語はスペイン語で、人口の9割に話されています。
ニカラグアの方言は特殊なので、親しみを込めてNicañolと呼ばれたりもします。
メキシコ
ラテンアメリカといえばまずメキシコを思い浮かべた人も多いのではないでしょうか?
人口は1億2千万人で実は世界で最もスペイン語話者の多い国なんです。面積は日本の5倍もあります。
映画「リメンバー・ミー」でも有名になった死者の日の祭典が最も大規模なのもメキシコです。
メキシコ料理は高い人気を誇っており、タコスやトルティーヤ、サルサソースなどは有名ですよね。
メキシコのスペイン語
大多数のメキシコ人がスペイン語を話します。
一方で、メキシコ政府によると何百もの先住民言語があるそうです。
メキシコのスペイン語の特徴としては、母音があまり強調されず、逆に子音がしっかり発音されるという部分です。
パナマ
続いては、パナマです。
世界最大の運河であるパナマ運河があります。あのパナマ文書でも注目を浴びましたね。
パナマと聞くと小国というイメージを抱く方も多いかもしれませんが、生活水準はメキシコよりも高く中米最高水準です。
特に都市部は高層ビルが立ち並んでおり、かなり発展しています。
パナマのスペイン語
人口の90%以上の住民がスペイン語を第一言語として話します。
パナマのスペイン語のアクセントは、キューバなどのカリブ海の島々のスペイン語とよく似ています。
ホンジュラス
ホンジュラスの珊瑚礁は世界2位の大きさを誇り、リゾート地としても人気の国です。
人口の7割が農業で生計を立てています。
最近では2020年にホンジュラスに巨大なハリケーンが甚大な被害をもたらしたのは記憶に新しいです。
ホンジュラスのスペイン語
公用語はスペイン語ですが、先住民の言語もいくつか話されています。
ホンジュラスのスペイン語(特にスラング)は、隣国のエルサルバドルと似ています。
カリブ海
続いてはカリブ海の国々を紹介していきます!
カリブでは16ヶ国中3ヶ国においてスペイン語が話されており、域内の総人口は約4,300万人です。
キューバ
キューバは、「カリブ海の真珠」と言われるほど美しい海に囲まれています。
首都のハバナでは70年代のクラシックカーが街を走り、レトロな魅力があります。
カストロやチェ・ゲバラは有名ですね。アメリカ大陸唯一の社会主義国でキューバ共産党による一党独裁です。
キューバ音楽も人気があります。
キューバのスペイン語
大多数のキューバ人がスペイン語を話します。
キューバのスペイン語の特徴としては、音節の最後の「s」の音が「h」のようにほぼ発音されなかったりと子音の発音の仕方が少し特殊です。
ドミニカ共和国
ドミニカ共和国は、日本ではあまり馴染みのない国かもしれませんが、カリブ海に浮かぶリゾート地として近年人気が増してきています。
また、大航海時代にコロンブスが初めて上陸した土地としても有名です。首都のサントドミンゴは植民地時代の要塞や教会などが残っており、歴史を感じる街です。
ドミニカ共和国のスペイン語
人口の98%がスペイン語を話しています。
ドミニカ共和国のスペイン語は、アンダルシアやカナリア諸島などのスペイン南部のアクセントを元にしているのが特徴です。
プエルトリコ
プエルトリコは正確には独立国家ではなく、コモンウェルスというアメリカの自治領の1つです。
野球のイメージが強いですよね。音楽においては、近年チャートを席巻し世界的な人気のあるレゲトンというジャンルの発祥地です。
プエルトリコの都市では、海賊からの攻撃を防ぐために、要塞が点在しており「カリブ海最強の要塞」と言われています。
プエルトリコのスペイン語
プエルトリコでは英語とスペイン語両方話されていますが、スペイン語がより重要な位置を占めています。
ドミニカ共和国のスペイン語と同じようにカリブ海のスペイン語に属し、スペイン南部のアクセントの影響を受けています。
南アメリカ
続いて南アメリカの国々を紹介していきます!
南アメリカでは12ヶ国中9ヶ国においてスペイン語が話されており、域内の総人口は約4億2000万人です。
アルゼンチン
アルゼンチンは「南米のパリ」と呼ばれるほど町並みが美しい国です。
牛肉料理が格別においしいと評判です。観光地としては、世界三大瀑布の1つイグアスの滝やパタゴニアの大自然が有名です。
更に舞曲の1つであるタンゴにおいても重要な地です。
アルゼンチンのスペイン語
アルゼンチンは公用語を持っていないのですが、スペイン語が最も主要な言語として用いられています。
またかなり特殊なアクセントを持っており、それは「銀の川」を意味するリオプラテンセ・スペイン語と呼ばれています。
約9000もの単語が他のスペイン語方言では用いられていない単語であると言います。
ウルグアイ
ウルグアイはスイスをモデルにした福祉国家です。
世界一貧しい大統領として日本でも話題になったホセ・ムヒカ元大統領の出身地でもあります。
首都のモンテビデオは都会でありながら落ち着いた街で気候も穏やかなので人気の街です。
牛肉消費量が多く、国土の90%以上が牧場です。
ウルグアイのスペイン語
ウルグアイは、アルゼンチンと同様に方言が強い国の1つです。
リオプラテンセ・スペイン語やポルトガルの方言であるウルグアイポルトガル語も話されています。
エクアドル
エクアドルは赤道直下に位置する国です。
エクアドルという国名は「赤道」を意味し、首都のキトには赤道上に建てられた世界の中心記念碑があります。
また、希少な動物が多く生息するガラパゴス諸島もエクアドル領です。
エクアドルのスペイン語
スペイン語が最も広く用いられています。
エクアドルのスペイン語は、都会に住む人と田舎に住む人でかなり話し方が異なるのが特徴です。
コロンビア
コロンビアの国名の由来は大航海時代にアメリカ大陸を発見した「コロンブス」です。
産業では、コーヒーはもちろん、カーネーションやバラなどの花も有名です。首都ボゴタには巨大なフラワーマーケットがあります。また、岩塩の埋蔵量が世界一の資源大国です。
コロンビアのスペイン語
コロンビアではスペイン語と60以上ものアメリカ先住民の言葉を話しています。
コロンビアの方言は海外に住む人はカリブ海方言に似たアクセントを持っています。
首都ボゴタの教養のある話し方は、アメリカ大陸のスペイン語の中でも高い名誉を得ています。
チリ
チリはラテンアメリカで最も生活水準が高い国です。
また、世界一細長い国で北と南では気候がかなり違います。
モアイ像で有名なイースター島は誰もが聞いたことがあると思います。
さらに、世界三大砂漠の1つであるアタカマ砂漠もあります。ここでは世界一の星空が見えると有名です。
チリのスペイン語
チリ訛りのスペイン語が第一言語で、先住民の言語は少数言語という位置づけです。
チリ訛りのスペイン語は単語や発音においてかなり独特な特徴を持っています。
スペイン語での最高研究機関であるスペイン王立言語アカデミーは、2214もの単語がチリ独自のものだと発表しています。
パラグアイ
パラグアイは内陸国です。
面積は日本よりも広いのですが、人口は日本の約16分の1です。
トリニダー遺跡はパラグアイ唯一の世界遺産です。
他にも、政府の本拠地であるロペス宮殿やモンダウの滝など見どころ満載です。
パラグアイのスペイン語
パラグアイはバイリンガルの国です。
スペイン語と先住民族の言語であるグアラニー語を公用語としています。
初めての入植者がバスク地方からのスペイン人であったため、昔のスペイン北部のアクセントを引き継いでいます。
ベネズエラ
ベネズエラは物価が安く、原油埋蔵量は世界最大と言われています。
しかし、経済面で多くの問題を抱え現在国家破綻寸前という深刻な状況です。
自然は本当に豊かで、ギアナ高地にある世界最大の落差を誇る滝エンジェル・フォールなど絶景が詰まった国であります。一生の思い出に残るような美しい景色を持つ国です。
ベネズエラのスペイン語
ベネズエラの第一言語はスペイン語ですが、多様性があり20以上の先住民の方言が話されています。
ベネズエラのスペイン語はカナリア諸島の方言とよく似ており、スペイン人でさえも区別がつかないほどだと言われています。
ペルー
ペルーは南米の玄関口とも言われています。
ペルーはなんといってもマチュピチュ。15世紀のインカ帝国の遺跡の1つで世界遺産にも登録されています。「インカの失われた都市」とも言われており、標高はなんと2430mに位置します。
更に、多くの謎を持つナスカの地上絵も有名です。
ペルーのスペイン語
ペルーの公用語はスペイン語だけでなく、先住民インカ人の言語であるケチュア語などいくつかの先住民の言語を指定しています。
ペルーのスペイン語はかなり多様性に富んでおり、4つの方言があると言われています。
ボリビア
ボリビアは豊かな天然資源を持ち、多くの日系人が住むことでも有名です。
ペルーとボリビアはほぼ1つの地域として扱われてきたために、両国は文化的にも深い結びつきがあります。
ボリビアといえば、やはりウユニ塩湖でしょう。「天空の鏡」とも言われる奇跡の絶景です。
また、首都のラパスは世界一標高の高い首都です。
ボリビアのスペイン語
ボリビアの主要な言語としては、スペイン語が68%、ケチュア語が18%、先住民のアイマラ族が話すアイマラ語が11%になっています。
ボリビアのスペイン語は、「s」に続く母音がほとんど発音されないなど、発音において際立った特徴があります。
アフリカ
実はアフリカにもスペイン語圏があるんです!初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?
スペインはポルトガルが持っていたアフリカ領土と自国のアメリカ大陸の領土を交換しました。つまり、元々はポルトガル領だったのがスペイン領になったということです。
それが今から紹介するアフリカ唯一のスペイン語圏である赤道ギニア共和国です。
1778年にスペイン領ギニアとなりました。
しかし、19世紀終わりまで完全な植民地化はしませんでした。1968年に現在の赤道ギニア共和国として独立しました。
赤道ギニア共和国
赤道ギニア共和国は、アフリカの中では比較的生活水準の高い国です。
ゴシック様式が美しいサント・イサベル大聖堂や、隣国のナイジェリアやカメルーンまで見渡せるパジーレ山が有名です。
赤道ギニア共和国のスペイン語
赤道ギニア共和国は、アフリカの中では唯一スペイン語話者が多数派を占める国です。人口の90%に話されています。
赤道ギニア共和国のスペイン語の特徴としては、ラテンアメリカのアクセントよりもスペイン本土のアクセントに近いところです。
公用語でないが広く話されている国
スペイン(スペイン語)が世界に及ぼした影響はやはり絶大で、今でも多くの国でその名残があります。
これから紹介するのは、公用語ではなくてもスペイン語が話されていたり、その名残が強く残っていたりする国です。
それではいきましょう!
アメリカ合衆国
自由の国、アメリカ合衆国。
そこで話されているのは英語だけではありません。
アメリカ合衆国ではスペイン語が事実上の第ニ公用語なんです。
ラテンアメリカからの移民が多くおり、彼らはヒスパニックと呼ばれています。
カリフォルニア、ニューメキシコ、アリゾナ、テキサスなどで特に広く話されています。
アメリカ合衆国のスペイン語
現在は5000万人以上もの住民がスペイン語を話すと言われています。
アメリカのスペイン語は他のラテンアメリカ諸国のアクセントとほぼ同じです。
具体的には、「z」や「c」は『s』として発音したり、「y」と「ll」の発音を区別しないといった特徴があります。
またアメリカ英語の発音の特徴が混じったりもしています。
アンドラ
アンドラはピレネー山脈にある国家でスペインとフランスに挟まれています。
バチカン市国と同じく極小国家で1つの街くらいの大きさです。
自然が豊かなため、ハイキングなどをするために多くの人が訪れます。
アンドラのスペイン語
アンドラの公用語はカタルーニャ語ですが、他にも多くの言語が話されています。
人口の38%がカタルーニャ語、35%がスペイン語、15%がポルトガル語を話します。
フィリピン
370年以上もの間、フィリピンはスペインの植民地でした。
1898年にスペインの支配が終わるまで、スペイン語は共通語でした。また、1987年までスペイン語は公用語として残り続けました。
フィリピンのスペイン語
現在はフィリピン語と英語が公用語であり、スペイン語を話せる人は1%以下と言われています。
しかし、人の名前や都市の名前などからスペイン語の名残は残っています。
さらに、スペイン語と土着の言語が組み合わさったチャバカノ語という言語もあります。
モロッコ
モロッコでは、標準アラビア語、アラビア語のモロッコ方言、ベルベル語が国語です。それに加え、公用語ではないもののフランス語が第二言語として政府や教育などに幅広く使われています。
さらに、多くのモロッコ人がスペイン語も話せちゃいます!「何ヶ国語も話せるの!?」って感じですよね。尊敬です。
モロッコのスペイン語
スペインとモロッコはとても近く、多くのスペイン人がモロッコへフラッと旅行に行きます。
特にタンジェなどの北部では、歴史的に見てもスペインと商業的な取引をよく行っていました。
このように、お互いに文化的な結びつきが強いので、多くの人がスペイン語を話すことができます。
まとめ:スペイン語圏は21ヶ国で話され文化も多様
スペイン語圏のそれぞれの国旗や名前、文化に加え、歴史的な背景まで詳しくご紹介しました。
全体を通して要点をまとめると以下のようになります。
目次
- ラテンアメリカを始め、大航海時代のスペインの影響は今も世界中で色濃く残っている
- ラテンアメリカのスペイン語は先住民族の言葉の影響により、それぞれの地域で方言が大きく異なる
- アフリカでスペイン語が広く話されているのは赤道ギニア共和国
- アメリカ合衆国にも多くのヒスパニックがいる
このように、スペイン語はアメリカ大陸南北全体で話されており、他の地域にもスペイン語は多くの影響を与えています。
スペイン語を話せれば世界がグッと広がります!あなたも一度挑戦してみてはいかがでしょうか?
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